長い話になってしまうが、発端は中学生の時だった
中3の三者面談の日、
学校で親父が来るのを待っていた。
けど、いつになっても来なくて、呼び出すこと数回。
やっと連絡があったと思ったらまだ仕事中。
「自宅に来てもらえ」といつも勝手なおやじ。
事情を説明して夜に家庭訪問となった。
けどやっぱり親父は来なかった。
何度も電話しても応答ナシ。
会社に連絡したところ、得意先との接待に突入中とのこと。
ほんとムカツクくそオヤジ。
先生に何度も謝った。
だけど嫌な顔ひとつせずその日は帰っていった。
日を改めて再度家庭訪問。
いつもジャージなのに今日は
スーツを着てきたのでスカートの足を見てちょっとドキッとした。
親父はまた俺を裏切った...
先生は気にするなと俺を慰めた。
おれは本当に申し訳なく泣きそうだった。
しばらくの間、世間話とか身の上話とかをした。
今までろくに担任と話なんかしたかことなくて
この時はじめて、担任の女教師が
26歳の独身だと言う事がわかった。
ちなみに先生は体育教師で、めちゃくちゃ体育会系である。
怖え女という印象は男子全員の見解の一致である。
すらりと長い手足、身長は高い方で体育大学時代は新体操をやっていた。
決してブスではなかった。
怖いけど綺麗な人だった。
俺は父子家庭で親父は仕事人間で週に3日しか帰ってこないとか、
彼女いない暦15年とかよけいな事まで話した。
時計は8時を回っていた。
「なんか作ってやる」と夕食を作ろうとしていたが、
冷蔵庫は空っぽ...結局二人でカップラーメンをすすった。
でもなんか俺は楽しかった。
話しも弾んだ。
っていうか意外と話し易かった。
彼女が先生であることすら忘れていた。
先生が帰った後はまた一人ぼっち...なんだか虚しいような寂しいような感覚。
しかし
先生との間にちょっとした秘密を持ったような気持ちになり、
なんだかうれしくもなった。
たぶん恋心、いや単なる憧れだろうな、そんな感情が芽生えたんだと思う。
勘違い野郎な俺、きっと向こうはそんな気持のかけらもないのに...
親父はあれから帰宅せず、
三日後に会社から海外出張で台湾に行ったと連絡が来た。
親父からは毎月3万円の生活費をもらっていたが、
2ヶ月前からもらってなくて、もう残金がなかった。
学校で給食は食べられたが、一日一食では体がもたなかった。
めまいがして、ベッドで寝たまま動けなくなりとうとう気を失った。
次に目をさましたとき傍らに先生が座っていた、腕には点滴。
「あんた死ぬ気かい?まったく」と先生。
医者は帰った後だった。
そしてひどい頭痛。
なんだかわけがわからず涙がこぼれた。
俺は「あれ?あれ?」なんていいながらひたすら涙を拭ったがなぜか止まらない。
本当に死ぬかと思った。
そんな俺を先生は抱きしめてくれた。
女性と密着!恥ずかしくなり払いのけようとしたが力が入らずなすがままだった。
俺を救ってくれた先生はとてもいい匂いがした。
親父は帰ってくるわけないと思っていたが、やっぱり帰ってこなかった。
後から校長やら教頭などが次々にやってきてなんだか疲れた。
校長が親父と連絡をとってくれたみたいだったが、一ヶ月は帰ってこれないそうだ。
先生が点滴を取り替えた。
「教わったから大丈夫ー」っていってたけどすげー怖かった。
丸二日寝たきりだった俺に先生はずっと付き添ってくれた。
土日だったからな。
「あんたの親、どんな親だよ」と怒る先生。
謝る俺。
育児放棄のほんとにくそ親父である。
先生には小3のときに母親が出て行った以来ずっとこんな生活であること。
親父は帰ってきてもお互いに口もきかないこと、したがって結局は
いないほうが気が楽であること。
みたいな旨を話した。
母についても最初は憎んだけど、今となってその気持ち十分解ります。
みたいな事を話した。
夜には先生が手料理を作ってくれた。
久々に食す米!おかずは忘れたが、すごく旨かったことは覚えている。
それと..恥ずかしながら号泣してしまいました。
しかも飯を食いながら...
先生がもらい泣きで俺より号泣してたなぁ。
そういや後にも先にも先生が泣いてるのを見たのはそれきりだったな。
帰り際に「ちゃんと飯くえよ」と1万円もらった。
そして先生は「じゃあな」といいながらまた俺を抱きしめた。
なんで抱きしめられたか不明だが、かわいそうとか思ったのか...
母性本能ってやつか。
勘違い野郎な俺。
きっと学校の指示で俺の付き添いをしたのに...。
何かを期待する馬鹿な俺。
この頃から命の恩人である先生に特別な感情を抱くようになったと思う。
そして片想いだということはいつも承知していた。
ちょっとフラつくけど月曜日から学校に行った。
先生が付き添ってくれた話は学校では誰にも話さなかった。
風邪で休んだことになってたし...
帰り際の抱擁...なんだか先生と顔をあわせるのが照れくさくて、
なるべく目を会わさないようにしていた。
結局その日、先生とは一言しか口を利かなかった。
ホームルームの時、先生「もう大丈夫か?」 俺「はい...」。
以上。
医者に寄るように言われていたので帰りに立ち寄るも、
飯さえ食ってれば心配無しとの事。
夕方になって会社の親父の部下という男が郵便局のキャッシュカードを持って来た。
この男、親父にたのまれていたが忘れていたらしい。
ぶんなぐってやろうかと思ったができるわけ無い。
すぐにお金を下ろしに行き、近所のスーパーで食糧を買った。
昨日もらった1万円は明日返そうと思った。
夜になって先生が様子を見に来てくれた。
なんだか凄く嬉しい。
でもすぐに申し訳ない思いでいっぱいになった。
「そうか。
担任だし、しかたなく見に来てくれてるんだよな...
医者にもそういわれたんだなきっと...」
よくよく考えたらすごく迷惑なヤツだな俺。
もう大丈夫だからと先生を追い返した。
いつも強引でぶっきらぼうな先生が、
「でも」、「でも」と心配そうに振り返る姿が愛おしく思えた。
本当にそのときは心を鬼にして背中を押したのを覚えている。
先生のその手には買い物袋が下がっていた。
先生が帰った後はひたすら「これでいいんだ」と自分に言い聞かせた。
胸が締め付けられるほどに切なくなった。
生まれて初めての想い...
気のきく子供。
良くできた子供。
そう言ってよく大人に褒められた
おとなしくて消極的。
遠慮がちで友達も少ない。
通知表にはよくそう書かれた。
でも自分じゃどうしようもない...生活環境ってこわい
成績はいい方、モテた経験はない。
どこにでもいる様な普通の中学生...
どうせだめなのに想いはつのる一方だった。
こんなに人を好きになったことなんてかつてなかった。
ところで、なんと翌日も先生はやって来たのだ。
鍵はいつも開けっ放しなので彼女はそーっと入ってきた。
超びびりました。
面食らう俺。
(最中じゃなくてよかったホッ)
無言で夕食の準備にとりかかる先生。
「いいよ」「わるいよ」と俺。
「うるさい!飯は一人より一緒のほうがうまいんだよ!」
...怖い...。
結局、すごく甘口なカレーをご馳走になった。
先生は3杯もおかわりしたが俺は飯がのどを通らなくて残してしまった。
先生は俺を元気付けようとしているのかベラベラと喋りまくった。
飯が食えないのは体調のせいじゃないのに...
「俺のことを哀れんで来てくれてるだけなんだよな..」
そう思うとなんだか自分がみじめな気持ちになった。
これ以上先生と顔を合わせていると自分がどうにかなりそうだった。
狂おしいとはこういうことなの?
学校では元気にふるまうように努力した。
俺が元気ならばもう来なくてもいいだろう、
俺みたいなのに気を使わなくたっていいだろう...
体育では全力疾走した。
後で吐いたけど。
給食も残さず完食したしおかわりもした。
後で吐いたけど。
俺の元気だよアピールはきっと伝わった...
「よう!空元気!おまえバカか?」と言いながら
先生は今夜もズカズカと上がりこんで来た...
先生にはお見通しだったのか、完全に見破られているようだった。
そもそも二日三日で体調が戻るはずないか。
「ええ!?」なんて驚いてみせて、来ると思わなかったからみたいな演技。
来るんじゃないかと期待していた馬鹿な俺。
勉強中というのも演出でした。
鍵をかけとけば居留守も使えただろうに...
教師という仕事上の義務であるとしても、俺は最高に嬉しかった。
その晩は俺のために雑炊を作ってくれた。
「オマエは食欲ないんだからこれでも食ってろ」
口は悪いがなんとなく優しさを感じる俺。
先生は昨日の残りのカレーを「二日目がうまいんだよー」
とか言いながら食べてたっけ。
雑炊はすごく旨かった。
でも俺はどうしても食欲が出なくて困った。
無理やり胃の中に流し込んだ。
全部たいらげた。
すごく旨くて全部たべられたよと言いたかった。
でもやっぱり吐いてしまった...
先生が帰ってからと思っていたが、間に合わなかった。
背中をさする先生に謝りながら吐いた。
せっかく先生が仕度してくれた料理なのに...もう嫌われたと思った。
始まってもいないのにもう終わったと思ったら涙があふれた。
「先生ごめん、ごめんなさい」便器に向かいながらただ謝るしかなかった。
「いいよ、無理するからだバカ」口は悪いがなんとなく優しさを感じる俺。
でも実際、優しかった。
10月になった。
先生はめげずに一ヶ月の間、毎晩家に通ってくれた。
食欲も体重も元に戻った。
全部先生のおかげだ。
疲れて帰ってくる先生のために俺が料理を作ったりもした。
夢みたいな生活、恋人みたいな錯角...
楽しかったが苦痛も半分、しょせん片想い。
でもその間もやっぱり勘違い野郎な俺、
何か間違いがあるんじゃないかと期待してみたり...
先生が帰った後は一人自慰にふけったりもした。
「お父さんもうすぐ帰ってくるね」先生の一言が俺を現実に引き戻した。
寂しいけどしょうがない、元の生活に戻るだけ...
先生にしてみればやっと看病から開放されて自由になれるんだし、喜ぶべきだ。
先生にはお礼の言葉とともにもう心配無用である旨を告げた。
次の日、実は先生が来るんじゃないかとそわそわして待ってたっけ。
来なかったけど...
親父は帰って来るどころか、今度は中国への出張。
校長に呼び出されて初めて知った。
来週は修学旅行だが、体調の不安を理由に俺は参加しない。
っていうか学校側がやんわりと断ってきた。
他には不良の皆さん数名が学校側から断固として断られたとか...
友達とかには特に話したりしなかった。
変に気を使われても困るし。
先生が夜来なくなってからは、なんだか拍子抜けして勉強に身が入らなかった。
体育のときはボーっと先生の顔を見つめたりして...
先生に「ぼけっとしてんな!」と頭をひっぱたかれたが痛くなかった。
他の生徒は修学旅行でも、俺は休みにはならなかった。
その間もちゃんとひとりで学校に通った。
しかし先生も居残ったことには驚いた。
国体の準備やら審判やらで毎回かり出されるそうだ。
二日間だけだが、先生を独占できる...胸が躍った。
普段はあまり会話を交わさないが、二人きりになると結構いろいろな事を話せる。
クラスの皆は知らない先生を俺は知ってる。
親密な俺と先生...と一人で妄想。
やっぱり勘違い野郎な俺。
一日目終了...
「お父さんが帰って来たんだったら、三者面談しないとね」
おいおいなにも聞いてないのかよ先生...
親父の中国行きをつたえると先生はびっくりしていた。
そしてそのうち何で言わなかったとか水くせえとか
怒り出してなだめるのが大変だった。
「やっぱオマエん家行けばよかったな..」ぼそっと先生がつぶやいた...
俺は耳まで真っ赤になった。
自分では見えないがたぶんそうだったと思う。
先生は俺んちに来たがってたんだ!
じゃなきゃ怒り出したりするもんか!俺の勘違いぶりも捨てたもんじゃない。
顔をあげると俺を見つめる先生。
やばい、目が合った。
赤い顔がバレてるに違いない。
俺の気持ちが筒抜け...
先生の口びるが迫ってきた..ファーストキスはたぶん3秒。
「何となくよ、気にすんな」先生の弁解。
ずるい..
心臓が爆発しそうなくらいドキドキ高鳴った。
おそらく先生は俺の気持ちにはとっくに感づいていたんだと思う。
オトナだもんな。
その夜、先生は来なかった...期待した俺はアホみたいだった。
ってかただのマセガキか?
だいぶヘコんだ。
..コンドームも買った俺って...
二日目終了...
一晩たって冷静になった。
俺のイヤな性格...
そもそも教師と生徒...あり得ない。
年も一回り近くはなれてるし...
こんなガキ相手にするわけないか...ははは...
「何となく..か」
泣きながら学校に向かった。
後輩に見られた...
学校に先生はいなかった。
今日の相手は校長だ...なんか臭い、寄るな。
校長の話によれば先生は昨日の夕方にはすでに国体の会場に向かっていたと...
なんかちょっと救われた気がした。
昨日ここで先生とキスした...
でももう勘違いも妄想も起きなかった。
明日はやっと休み、たしか2連休。
といっても特にやることなし。
自堕落な俺
今日も校長が相手、でも問題集のプリントを渡されてそれをやるだけ...
いなくてもいいのに。
「元気になって本当によかったねえ。
食事はいつもどうしてるのかね?」みたいなことを質問された。
校長の言葉におもわず???
先生をよこしてたのはアンタでしょうが...ってまてよ...
妄想パワー一日で復活。
先生は自らの意思で俺んちに通ってたんだ。
俺んちに来たかったんだ。
俺のことが好きなのかも?
そうかそうだったんだ。
飛び上がりたい気持ちを必至になって抑えた。
でも教師という仕事上の義務だという線も残っている...
担任という責任感...
俺のポジティブ思考はそんな思いを吹き飛ばしていた。
先生に会いたい。
会って思いを伝えたい...
校長には仕出し弁当を取っているとウソをついた。
家に帰るとポストに封筒が入っていることに気がついた。
中にはメモと新幹線の切符が入っていた。
すぐに先生からだとわかった。
「絶対に来い!」と書かれていた。
字がでかかった。
逸る気持ちを抑えながら新幹線に乗った。
間にあってよかった。
ポスト確認してよかった。
ああ神様。
乗ってから着替えを持ってこなかった事、
学生服のままだと言うことに気が付いた。
気にしない。
切符のとおりの駅で降りたが会場がわからない、
いろんな人に聞きまくってたどり着いた。
あたりはもう真っ暗だった。
試合も終わったのだろうか、帰りの人波が向こうから押し寄せてきた。
俺を呼ぶ声を聞き逃さなかった。
思いっきり抱き合いたい衝動をわずかな理性でとどまらせて手を握り合った。
先生も俺と同じ思いでいるに違いないと思い込んで疑わなかった。
審判のスーツをきりりと着こなしていた先生。
今日は髪を下ろしていた。
ああこんなに長かったんだ。
今告白しようと思った。
「先生あの...」言いかけたが先生は俺の手を引き駆け出した。
駆け込んだのは身障者用のトイレ。
先生はいきなり俺の唇にむさぼるようにキスした。
荒っぽかった。
キスされながら「あの、その」とたじろぐ俺。
好きだといいたいのに...
「何も言うな」と鼻息を荒くしながら先生は俺の舌を吸った。
トイレではそれ以上のことはなかった。
会場の外で先生を待つ間、
口紅のついた俺の顔を何人かが覗いて行ってやっと我に返ったのを覚えている。
先生の宿泊先ホテルに向かった。
途中でジャージの上下とフィールドコートを買ってもらいそれに着替えた。
ホテルにチェックイン。
国体シーズン。
どうみてもコーチと選手。
疑う余地ナシ。
他にも似たような団体がたくさんいたし。
部屋に着くなり先生に襲いかかられる。
初めてでどうしていいかわからない。
先生のいいなり...
アソコを触られて挿入前に果ててしまった。
サルみたいに何度も何度も...俺には強烈な体験となった。
いつのまにか二人とも寝てしまい。
朝、目を覚ますとお互いの体がカピカピになっていた。
あ、ゴムつけなかった...中に出しまくったような...
二人でシャワーを浴びる。
すごく照れくさい。
改めて落ち着いて女体を観察。
間近のオッパイにイチコロ...また...
先生の声はかわいい...
口は悪いが優しさを感じた。
なんか妙な達成感。
大人になったと勘違い。
先生はどうだったか知らないが、俺に後悔は無かった...
学校生活が元に戻っても先生との関係は続いた。
週末はよく泊まりに来てくれた。
教室や先生の車の中でのセックス。
会うたびに身体を重ねた。
幸福感に満たされていた。
4月になり、先生は転勤、俺は高校進学。
学校の近くにアパートを借りた。
先生の家からは、かなり遠くなったけど週末には会えた。
結局先生に気持ちを伝えていない...先生の気持ちもわからない...
言わない方がお互いの為にいいのかなと思った。
しょせん教師と生徒...
先生は俺のこと好きなのだろうか?
只のヤリ友?
でも先生を縛ることはできない...
気持ちを確かめたかったができなかった。
なんだか怖かった。
あやふやな関係がイヤだった。
俺のものにしたかった。
それでもいいやと思うが、もやもやした物がむねにつかえていた。
それでも先生を抱きしめてるときは幸せだった。
高2の春、中学の同級生から先生が結婚するらしいと聞いた。
そんな話はじめて知った。
怒りが込み上げた。
ものすごくショックだった...しばらく立ち直れなかった。
二人で外でデートしたのは数えるほど..
会ってセックスして終わり。
こんなの恋人同士じゃないと思った。
しょうがない、割り切ろうと思った。
最初から片想いだということは承知していたのだから...
でも、動揺して何も手がつかなくなった。
俺達は終わりなの?
俺はどうすればいいの?
毎日悩んでばかりだった。
手が震え、頭が白髪になった。
先生が幸せになれるのならそれでいいという思いはあるものの...
相手の男には激しく嫉妬した。
誰だか知らんが。
些細なことで初めて先生とケンカした。
俺は結婚のことを責めようとしたが辞めた。
俺は謝り、先生は黙って帰った...
そして二度と先生は来なくなった....
向こうの生活もあるし決してこちらからは連絡を取れない。
でも何度か電話してしまった。
電話には誰も出なかった...
寂しさと苛立ちで自暴自棄に陥った。
俺は壊れていた。
毎晩泣きくれたあげくにリストカットをするようになった。
ある日出血が多くて気を失った。
病院で目を覚ました。
でも傍らに先生の姿は無かった...
発見してくれたのは同じクラスの女の子。
俺の手首の傷に前々から気付いていたと後で聞いた。
毎朝、遠回りして俺のアパートの前を通って部屋の電気を確認していたという。
消えていれば安心、点いていれば危険なんだそうだ...
どうせなら死んだほうがよかった...そのときはそう思った。
俺がなんとか繋ぎとめようとしているさまに、
先生はわずかな恐怖を感じたのだと思う。
結局俺は子供で。
先生はオトナだった。
これでよかったんだと思った。
もしあのままの関係を続けていたら、きっと最悪の事態になっていたと思う...
もう先生とは会わないと固く誓った。
女の子にすべてを話した。
彼女は涙を流しながら聞いてくれた。
その後も彼女は親身になって相談に乗ってくたり、何かと支えになってくれたが
俺は立ち直ることはできなかった...
彼女は大学進学の為上京。
それ以来連絡は取っていなかったが。
後に彼女が俺と先生にとって、重大な人物となった。
あれからもう20年を過ぎた...
俺、今36歳、既婚、子供なし。
妻は命の恩人デス
結婚15周年を迎えて。
一万円はまだ返してない....
妻に深謝...
人工中絶が原因で妊娠不能に陥ってしまったこと。
超長文すみませんでした。
ありがとうございました。
あの子は俺に内緒で先生にも会っていたんです。
近況など報告していたのです。
俺の自殺未遂は伏せていました。
先生は最初はひどく憤慨していた様でした。
第三者に喋っちゃったからな...
その子はお互いの気持ちを確認した上で、
先生との再会をセッティングしてくれたんです。
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