最初は、教師と一生徒というだけの関係だった。
笹倉先生は、ボクが高◯三年のときに
ほかの学校から転任してきた英語の教師で、
ほかの先生たちと比べるとボクたち生徒との年齢が近かったこともあって、
人気の的だった。
長い髪にアーモンドアイの先生は、何と言っても美人で、
若いのに颯爽と校内を歩く姿は見ていて格好良かった。
先生は女生徒にも人気があって、それはきっと先生が、
関西にある某劇団の男役のような雰囲気を醸していたからかもしれない。
全校生徒の憧れの先生だったので、
勉強も普通、運動も普通、ルックスも普通のボクとしては、
ただ、ただ毎日、彼女の姿を目で追うことぐらいしかできなかった。
たまに先生と目が会うこともあったけど、
ボクは直ぐに目をそらしてしまい、
そうこうしているうちに高◯生活を終えてしまった。
先生には何も告げることができなくて、ボクにできたことと言えば、卒業式の日に自分で制服の第二ボタンを引き千切り、職員室の先生の机にそっと置いて立ち去ることぐらいだった。
成績が普通だったボクは普通の大学に進学し、五月病がようやく治って夏休みを迎えたころ、カノジョもいないボクはすることがなくて、かつて通っていた高◯へと足を向けたのだった。
正門から中を覗くと、夏休みの校庭には、幾つかの運動部がクラブ活動をしているくらいだった。
人影はまばらで、校内は全体的に閑散としていた。
『隣の女子高にいた陸上部の理沙ちゃんと志保ちゃん、可愛かったなぁ』
ランニングから帰ってきた陸上部員たちが校門を通って目の前を通り過ぎたとき、ボクは高◯時代によく見かけていた女子生徒の姿を思い返していた。
『いつからか、あの二人を見かけなくなったけど、何かあったのかな』
『二人とも今頃どうしているのだろう・・・』
漠然とそんなことを考えていたとき、かつて自分がずっと目で追いかけていた人影が校舎から出てきて、正門に向かって歩いてくるのが見えた。
笹倉先生だった。
ボクは先生のことをまともには見られなくて、校門のところで誰かを待っている風を装っていたが、先生はボクのところにまで真っ直ぐやってくると声を掛けてきた。
「桜井くん?」
担任でもなかった先生が、ボクなんかの名前を覚えているなんて意外だった。
ボクは目を上げて、首だけで会釈をすると、先生はニッコリと微笑むとボクの肩を軽く叩きながら訊いてきた。
「K大生が、こんなところで何をしているの?」
することがなくてブラブラしている、なんて言い難くて、ボクは頭の中でそれらしい答えを探したが、結局のところ、咄嗟には何も思いつかなくて正直に答えてしまった。
「なんだぁ、まだ、カノジョもできないの?」
そう言うと、先生は再び笑った。
「ねぇ、これからお昼を食べに行くんだけど、付き合う?」
その有難い申し出に、断る理由なんてどこにもなくて、ボクは二つ返事で先生についていくことにした。
白のブラウスに膝丈の薄いブルーのフレアスカートを履いた先生の後について、駅の近くの定食屋に入ったが、そんな店は先生には似つかわしくなくて、ボクはちょっと戸惑った。
「向かいのパスタ屋さんの方が良かった?」
ボクの頭の中を見透かしたように、先生は訊いた。
「いいえ、でも先生は絶対にあっちだと思ったので」
そう言うと先生はクスリと笑って、焼き魚定食を二つ注文した。
「私、和食派なの」
そう言いながら、味噌汁を啜って魚をつつく先生の姿は、高◯時代に想像していた先生とはずいぶんと違っていた。
「へぇ、桜井くん、お魚食べるの上手なんだ」
ボクのお箸の先とボクの顔を交互に見ながら、先生が言った。
「お魚をきちんと食べられる人、好きだな」
思いがけない賛辞に遭って、ボクは少しどぎまぎした。
誉めてもらったのは嬉しかったけれど、先生のお皿は猫が舐めたように綺麗で、魚は標本のように骨だけになっていた。
ボクの同級生が今はどうしているとか、どの先生が寿退職をしたとか、とりとめもない話をして昼食を終えたボクたちは、学校までの道のりを再び二人で歩いた。
「じゃぁ、元気でね」
正門のところまで辿り着くと、先生がボクにそう言った。
黙ったままのボクを見て、先生は小首を傾げると訊いてきた。
「どうかした?」
先生の足元ばかりを見つめていたボクだったけれど、思い切って視線を上げて先生を見ると言ってみた。
「先生、また、来てもいいですか?」
そう言うと、先生は一瞬返事に詰まった様子だったけれど、直ぐに自分の携帯電話を取り出すと言った。
「桜井くんの携帯番号、言って」
答えると、お尻のポケットに入っていたボクの携帯が短く鳴って、着信番号だけが表示されていた。
「それ、私の番号だから」
それだけ言うと、先生は踵を返して校門を通り抜けると、最初に出てきた校舎へと戻っていった。
憧れだった先生の携帯番号をゲットできるなんて、まるで夢のようだった
ボクは番号を無くさないように、家に帰ると手帳にもSCと書いて、番号を書き留めると机の引き出しに仕舞った。
先生の名前は、笹倉千秋。
何かあれば、いつでも先生に連絡できると思うと、それだけでボクの心は躍った。
数週間が過ぎてお盆を迎えたころ、突然先生から電話が掛かってきた。
驚いて慌てたボクは、携帯電話を落としそうになったが、ひと呼吸置いて気持ちを落ち着かせると電話に出た。
「桜井くん?」
先生は、ボクの返事を待たずに、いきなり用件を切り出した。
「何してるの?」
「えっ?」
「だから、いま何しているの?」
「あっ、その・・・、家でごろごろしているだけですけど」
「・・・」
電話の向こうで沈黙が流れ、小さくため息を吐くのが聞こえた。
「明日は?」
「はい?」
「だから、明日は何か用事はあるの?」
「いえ、ありませんけど・・・」
「だったら、明日のお昼前に駅に来て」
先生は、高◯の最寄り駅の名を告げると、そのまま一方的に電話を切った。
『突然、なんだろう?』
ボクの頭の中は疑問符だらけだった。
けれでも、あの先生に呼び出されて出かけて行かない選択肢は、ボクの中になかった。
ボクは、先生に言われるがままに、翌日指定された時間と場所に出向いていった。
駅に到着して少し時間が経ってから、約束通りの時間に現れた先生は、何だか少し怒っているようだった。
首だけで会釈をして挨拶をすると、先生はクルリと背中を向けて歩き出したので、ボクは慌てて先生の後を追った。
駅前の商店街で先生はお弁当を二つ買うと、ボクにそれを持たせてスタスタと学校の方角へと向かった。
校門は閉まっていて、先生は門柱の横にある鉄の扉の鍵を開けると、中に入るようボクを促した。
校庭の木でセミが鳴いていて、誰もいない学校の中は、蒸し暑かった。
そんなボクの思いを知ってか知らずか、先生は職員室の隣の部屋のドアを開けるとボクに入れという仕草をして見せた。
「ここって・・・」
戸惑うボクの腕を取った先生がボクを部屋に押し込むと、ボクたちの後ろでカチャリと入り口の扉が閉まった。
そこは、校長室だった。
校長室にはエアコンが効いていて、外の暑さがまるで嘘のようだった。
先生は、ボクに来客用のソファに腰を下ろすよう促すと、どこからか魔法瓶を取り出してくると言った。
「お茶を入れるわ」
それを聞いたボクは、先生に買ってもらった弁当を白いビニール袋から取り出すと、ソファの前のガラステーブルの上に置いた。
先生はボクの向かいに座ってお茶を出してくれると、漸く本題を切り出した。
「私の携帯番号、まだ持ってる?」
「はい・・・」
「どうして、連絡してこないの?」
「えっ?」
「また、来てもいいかって訊いていたじゃない」
「・・・」
ボクは、何と言っていいのかわからなくて、ただ黙っていた。
すると、先生は昨日の電話と同じように小さくため息を吐くと言った。
「桜井くんが来るかもしれないと思って、私、あれからほかの先生の当直も引き受けて、ずっと学校に来ていたんだよ」
そこまで言われて、ボクは漸く先生が何を怒っているのか理解した。
いくら、ボクが鈍くても、ここまで言ってもらえればわからないわけがなかった
わかったけれど、ボクには先生の言っていることが俄かには信じられなかった。
何と言ってもボクは、普通を絵に描いたような男で、先生にそんなことを言ってもらえるような相手ではなかった。
「でも、社交辞令だと思っていたので・・・」
「元教え子に教師が社交辞令で、電話番号を教えると思う?」
そう言われてみれば、そうだった。
「でも、どうして?」
すると、先生はガックリと肩を落とすと弁当のプラスチックの蓋を取ると食べ始めた。
「桜井くんも食べなよ」
ボクが、もうひとつの弁当に手を伸ばしかけると、先生が続けて言った。
「それ、先生に言わせる?」
「えっ?」
ボクは弁当から視線を戻して先生の方を見ると、先生はボクの目を真っ直ぐに見ていた。
「桜井くん、先生のこと好きでしょう?」
あまりにもストレートすぎる言葉だった。
ボクは、耳まで真っ赤になりながら、俯いていた。
すると、先生は手に持っていた弁当をテーブルに置くと、腰を浮かせてボクの隣に座った。
「卒業させてあげよっか」
ボクの記憶違いでなければ、先生は確かにそう言った。
それからは、校長室のソファに座らされたまま、先生はボクのジーンズに手を掛けて、ゆっくりと下ろしていった。
頭の中にカーッと血が上って、成されるがままであったが、次に気がついたときには、ボクは立たされて、先生がボクの前に跪いていた。
「こうすると気持ちいい?」
ボクの屹立したモノは先生の細い指二本にそっと扱かれて、今にも爆発しそうだった。
先生はわざとボクの方を見ながら舌を思いっきり出して、ちょっと大袈裟な舌の動きをさせて見せると、ボクの竿の付け根から先っぽまでツツツと舌を滑らせた。
童貞のボクには、それだけで限界だった。
パクリと先生のお口の中に入った瞬間、ボクは先生の唇の間で激しく痙攣し、行き場がなくて溜まりに溜まった精液がビュッっと飛び散ると、先生のお口を汚してしまった。
ヘナヘナとソファに倒れこむと、先生はどこからかティッシュを取り出して、精子に塗れたボクのモノを丁寧に拭ってくれた。
「せ、先生・・・」
「何も言わなくていいのよ」
先生は喉をゴクリとさせて、ボクの出したものを飲み込んだあと、ボクに言った。
先生は、ボクがジーンズを履くのを手伝ってくれて、それからボクたちは二人で一緒にお弁当を食べた。
校長室で黙って弁当をつつくボクと先生の姿は、傍から見れば何だか異様な光景だったのではないかと思う。
弁当を食べ終わった後、ボクが俯いたままで何も言わずにいると、先生はボクの肩をそっと抱き寄せると耳元で言った。
「四時には当直が終わるから、待ってて」
ボクが頷くのを見て、先生は校長室を出ると職員室へと入っていった。
することの無かったボクは、校長室に備え付けてあったテレビの電源を入れると、高◯野球をやっていた。
ボクよりも年下の連中が、テレビに映っている光景は、何だかおかしな気分だった。
炎天下で白球を追う球児たちを、たっぷり二試合分見たころで先生が戻ってきた。
「桜井くん、いくよ」
ボクは慌ててテレビを消すと、先生の後に続いて校長室を出た。
校庭の木で鳴くセミの声が小さくなっていて、校舎の裏にまわると、そこには先生の車が停めてあった。
先生が車の運転をするなんて、想像したことも無かったので、ちょっとビックリしていると、先生が声をかけてきた。
「乗って」
先生が車のキーのボタンを押すと、ハザードが光ってドアのロックが開いた。
「夜は、何か予定はあるの?」
首を横に振るボクの姿を見ると先生は黙って、車を発進させた。
車は大きな通りをただひたすら真っ直ぐ進み、角をいくつか曲がって到着したのは、結構大きなマンションだった。
先生は、地下の駐車場に車を停めると、マンションのエレベーターのある方を指差して、そっちへ進むようボクを促した。
エレベーターの扉が閉まると、先生はそのとき初めてボクの手を握ってきた。
ボクは、ドキドキしてエレベーターの階を告げる数字がパラパラと動くのをただ黙って、見つめていた。
先生が家の鍵を取り出して、玄関の扉を開くと、そこには黒いハイヒールがきちんと揃えて脱いだあった。
「お姉ちゃん、帰っているの?」
玄関先に置いてあった小さな籠を見ると、ガラスのキティちゃんのキーホルダーがついた鍵が入っていた。
「チアキ、いま帰ったの?」
エプロンで手を拭きながら出てきたメガネの女性は、すごく綺麗で大人っぽい女性だった。
「あら、お客さん?」
先生は、明らかに予想外だったみたいだけれど、すぐに気を取り直してボクを家に上げると、すぐに自分の部屋に通してくれた。
部屋のドアが開けっ放しだったので、先生がお姉さんと話しているのが、聞こえてしまった。
「あの子、学校の生徒じゃないでしょうね」
「違うわよ。それより、お姉ちゃん、どうして家にいるの?」
「あら、お邪魔だった?」
「・・・そんなことないけど」
「けど、なに?
「ちょっと、ビックリしただけ」
そんなやり取りの後、先生は麦茶を入れたグラスを二つお盆に載せて、自分の部屋に戻ってきた。
状況が飲み込めずにいるボクを見て、先生は後ろ手で部屋のドアを閉めるとボクに言った。
「お姉ちゃん、今日は遅くなるって言ってたのに、ごめんね。ご飯だけでも食べていって」
『お姉さんが帰ってきていなかったら、何が起こっていたのだろう』
そんなことを思いながら、ボクは黙って頷いた。
お姉さんの料理は、絶品だった。
ただ、ボクがチアキ先生の元教え子だとわかった途端、和やかな食事の雰囲気が一変してしまった。
「チアキ、生徒さんとおかしな関係になったら、教師を続けられなくなるわよ」
「おかしな関係って、何よ」
「だから・・・」
「お姉ちゃんだって、奥さんのいる人とおかしな関係になってるじゃない!」
「・・・あの人とは、もう終わったわ」
「だからって・・・、この子は、もう教え子じゃないのに、どうして好きになったらいけないのよ!」
お姉さんの衝撃の事実と、チアキ先生の突然の告白を聞いてしまったボクは、黙々と出された料理を口に運ぶしかなかった。
そこから、お姉さんとチアキ先生の応戦がしばらく続いた。
「もう、放っておいてよ!」
それだけ言い捨てると、先生は食卓に箸を叩きつけるようにして席を立つと、自分の部屋に戻ってしまった。
もう少しで食べ終わるところだったのに、ボクも箸をおいて先生のあとを追わざるを得なかった。
一番好きなカニクリームコロッケを最後に半分残しておいたことを、そのとき激しく後悔した。
けれどもコロッケ半分のために先生を一人にしておくことが、男のポイントを下げるであろうことは、経験の浅いボクにも容易に想像がついた。
コンコンとドアをノックして、ボクは先生の部屋の扉を開けた。
先生は、ベッドに突っ伏して、泣いていた。
ボクはどうしたらいいのか判らなかったけれど、先生の背中にぴったり自分の胸を押し付けるようにして、後ろから先生の細い身体に腕を回した。
すると、先生はクルリと身体を反転させてボクの方に向き直って言った。
「桜井くんも酷いよ!」
ボクが目を白黒させていると、先生は続けた。
「私が気づいていないとでも思った?」
「えっ?えっ?何を?」
「クラスにはかわいい子たちが、いっぱい居たのに、ずっと私を見ててくれていたよね」
「えっ?でも、ボクなんか・・・」
「毎日毎日、ジッと自分を見つめてくれていた男子生徒が、卒業してから訪ねてきたら、普通、期待するでしょう?」
そう言うと先生は、ボクの唇に自分の唇を重ねてきた。
ボクのファーストキスだった。
キスよりも先に、フェラで暴発してしまったことを本当は少し悔いていたのだけれど、先生の舌がボクの唇を割ってヌルッと入ってきたとき、もうそんなことはもうどうでもよくなった。
必死になって先生の唇を吸い返し、先生の着ているブラウスのボタンに手をかけたとき、ノックの音がした。
先生のお姉さんが家に居たことを忘れていた。
ボクたちは我に返り、先生は乱れた髪と服装を直すと、部屋を出て行った。
「桜井くん・・・、だっけ?」
お姉さんに促されて、ボクもダイニングルームへと戻った。
「チアキ・・・のこと、本当に好きなの?」
お姉さんに問われてボクが頷くと、お姉さんは少し肩を落としてテーブルの上のお皿を片付け始めた。
「あっ」
コロッケが下げられていくのを見て、思わず声を出してしまったが、ボクの方に視線を向けたお姉さんに対して、ボクは何でもないというように小さく首を横に振った。
お姉さんが食器を洗っている間に、先生が戻ってきた。
先生はボクに内緒話をするかのように、ボクの耳元で訊いて来た。
「明日も会える?」
お姉さんに分からないように、ボクが小さく頷くと、先生はダイニングテーブルの下で、ボクの手を握ってきた。
ボクが握り返すと、先生はやっと落ち着いた風に見えた。
「桜井くんを送ってくる」
先生に促されて玄関で靴を履いていると、お姉さんも出てきて見送ってくれた。
エレベーターを降りて、先生の車に乗り込んでシートベルトをしていると、運転席から身を乗り出してきた先生に優しいキスをされた。
「明日、卒業させてあげるから」
先生は、呟くようにそう言うと車を発進させた。
駅でボクが車を降りると、先生は助手席のパワーウィンドウを下げて身を屈めると、ボクに言った。
「明日の午前十時に、ここにいて」
そう言うと、先生の車は走り去っていった。
ボクは先生の車が角を曲がるまで見送っていたが、角を曲がる前にブレーキランプが五回点滅するのが見えた。
子供のころ、家族でカラオケに行ったとき、母親が歌っていた曲をボクは思い出していた。
その晩、ボクは興奮してなかなか眠りにつくことができなかった。
その日、起こったことを思い出すと、ボクの股間は痛いほどに屹立し、ボクを悩ませた。
チアキ先生が、ボクのことをあんな風に思ってくれていて、あんなことになるなんて、ボクは生まれて初めて、女の人に好かれたいという野望を持った。
先生のためなら、何でもしてあげられる。
そんな風に思っていたら、いつの間にか眠ってしまっていた。
「やっべぇ!」
目を覚ますと時計の針は午前九時を回っており、ボクは慌てて歯を磨き、顔を洗うと一番マシなトランクスを選ぶと履き替えて、駅へと向かった。
寝坊をしたのは自分の癖に、ボクは電車が各駅で止まるのを呪った。
ようやく目的地に着いて、駅の階段を駆け下りると、ハザードをつけた車のドアにお尻をつけて凭れ掛かっている先生の姿が見えた。
「来ないのかと思ったじゃないの!」
腕組みを解きながら先生が言った。
「すみません・・・」
声をフェードアウトさせるように首でお辞儀をしながらボクが言うと、先生はようやく笑顔を見せてくれて、助手席に乗り込むようボクを促した。
「お姉ちゃんね、最近好きな人ができたらしいの」
玄関の鍵を開けながら、先生が言った。
「奥さんのいる人とは、違う人ですか?」
言ってしまってから、余計なことを言ったと自分の口を呪った。
けれども、先生は気にする風でもなく、話を続けた。
「うん、でも、そのお相手というのが、随分若い人らしいの」
「若いって?」
「お姉ちゃんと十五も歳が離れているらしいの」
「えっ?ボクよりも年下ですか?」
すると先生は悪戯っぽく笑うと、ボクに言った。
「お姉ちゃん、若く見えるけど、私とひと回りも違うの」
『えぇーっ!お姉さん、若作りだけど、アラフォー?!』
生のお姉さんを昨晩見ているボクとしては、俄かには信じがたかった。
先生の話を聞いてみると、ボクが帰ったあと、先生とお姉さんは話をしたらしい。
「お姉ちゃんは、その人とは上手く行かないと思っているの?」
「上手く行くわけないじゃないの!」
「それなら、どうしてその人と付き合っているの?」
「付き合ってなんかいないわよ。私がちょっと気になっているだけ」
「お姉ちゃん、それってずるい!そんなの、その人にも失礼だよ」
お姉さんはどうやら自分と重ね合わせて、妹のことを心配していたようだった。
結局、お姉さんは先生がボクと付き合うことに賛同してはくれなかったそうだが、会社に出かけるときにコンドームの箱を先生の部屋に置いて行ったらしい。
先生の部屋のベッドに腰掛けると、先生はベッドの脇机の引き出しから、箱を取り出すと小さく振って見せた。
「シャワー浴びる?」
昨夜、家に帰ってからお風呂に入って念入りに身体を洗っていたが、先生に言われてボクは頷いた。
買ったばかりの男物のパジャマとバスタオルを渡してくれて、ボクは先生にバスルームへと誘われた。
「一緒に入る?」
そう言われたボクは、ゴクリと生唾を呑み込んで、ただ、ただ、頷いていた。
おっぱいは大きくはなかったけれど、お風呂場で見た先生の身体は、それまでに雑誌なんかで見たどんな女性よりも綺麗で、色っぽかった。
「桜井くん、おっきくなってるぅ」
茶化すように先生に言われて、ボクは顔を赤らめたが、昨日ほどには恥ずかしくはなかった。
シャワーから出る少し温めのお湯に打たれながら、先生はボクの身体に泡のソープを塗すと、自分の身体を擦り付けるようにして洗ってくれた。
ボクは、もういつ死んでも構わないというくらいに気持ちが高揚し、股間の方も一触即発の状態だった。
石鹸を洗い流してくれたあと、先生は自分の身体も洗い始めたので、ボクは洗ってあげるフリをして、先生の小ぶりなおっぱいに触れた。
先生のおっぱいは、想像していたよりも弾力があって、ボクが揉むようにすると、陥没していた乳首が勃って、コリコリになった。
「後でゆっくり触らせてあげるから、身体を拭いてベッドで待っていて」
そう言われてボクはバスルームを後にすると、バスタオルを腰に巻いたまま、先生の部屋に向かった。
バスタオルを身体に巻いて部屋に戻ってきた先生は、妖艶な感じというか、色気マックスという感じでボクのもとにやってくると、ボクのバスタオルを剥ぎ取って、それをベッドの上に敷いた。
いつでも発射準備の整ったボクのジュニアにそっと口づけをすると、先生はベッドをポンポンと叩く仕草をして、ボクに横になれと促した。
ボクが横になると、先生は自分のバスタオルを床に落とし、ボクに覆い被さってきた。
先生の両手がボクの両頬を包み、先生の唇が近づいてきた。
先生の唇は薄い方だけど、とても柔らかくて、ボクhは夢を見ているようだった。
気が付くと、ボクは先生に舌を吸われながら、先生の片手が硬くなった肉棒に添えられているのを感じた。
「カチカチで、熱いね」
先生はそういうと、ボクの首筋にもキスをして、やがてその唇はボクの小さな乳首を吸った後、股間の方へと移っていった。
先生はねっとりと竿の根元から先にまで舌を這わせて、既に零れ出た汁と舐めとってくれた。
「気持ちいい?」
ボクの方を見て言う先生にボクは頷くしかなかった。
すると、先生は身体の向きを入れ替えたかと思うと、ボクの上に跨り、目の前にパックリと開いた股間が晒された。
本物の女の人の股間を目の前にするのは初めてだったけれど、ボクは先生の張り出した腰を引き寄せると、ぷっくらとした先生の蕾を唇で啄んだ。
「あ、いい・・・」
先生は小声でそう漏らすと、喉の奥まで届くほどにボクを深くまで咥え込んだ。
「先生、もう出ちゃうよ」
いつまでも先生のお口の中で慰められていたかったけれど、再び先生のお口を汚してしまう危機に晒されたボクは、先生の亀裂から顔を放して言った。
それを聞いた先生は、ボクを一旦口から出して、枕元に置いていたアルミの小袋を開けて中身を取り出すと、ボクに装着してくれた。
「できたよ」
そう言って先生はベッドに仰向けに横になると、両腕をボクの方に伸ばすと、おいでという仕草をして見せた。
ゆっくりと、ゆっくりと、ボクは先生の脚の間に身体を入れて行き、先生に手を添えてもらったまま、温かい蜜壺へと進入を果たした。
途中で少し行き止まりのような感じになったけれど、先生の促されて強く腰を突き出すと、一気に根元まで入っていった。
先生の眉間に少し皴が寄った気がしたけれど、先生を気遣っている余裕はボクにはなかった。
「先生、動いていい?」
そう言うと、先生が頷いてくれたのでボクは腰を前後に動かし始めた。
温かくて、柔らかくて、女の人の中がこんなにも気持ちいいとは、想像を遥かに上回る快感だった。
先生に抱き寄せられて、舌を絡めとられると、ボクの快感は一気に頂点に達し、激しいピストン運動とともにボクは果てた。
先生の中に納まったまま、ボクの股間のモノはみるみる力を失っていった。
「ティッシュの箱を取ってくれる?」
先生に言われて、手を伸ばし、先生に手渡すと、先生はティッシュを何枚も箱から引き出すと、それを塊にして自分の股間に押し当てた。
先生の動きを邪魔しないように、先生の上から身体を退かすと、先生のお尻の下でバスタオルに血が滲んでいるのに気が付いた。
先生、大丈夫ですか?」
あまりに激しく突いたので、ボクは先生にケガをさせてしまったのではないかと、パニくりかけたが、ひょっとして、と思って遠慮がちに聞いてみた。
「あの、先生・・・、先生も、初めてだったとか・・・」
すると先生は、ボクからコンドームを外してボクを拭ってくれたあとでティッシュを丸めて屑籠にそっと入れると、ボクの方に向き直ると思い切ったように告白した。
「そうよ」
そこには、見たこともない天使がいた。
「卒業おめでとう」
先生はベッドの上に座ったまま、自分の胸の前で小さく手を叩く仕草をしてくれた。
それにしても驚きだった。
「せ、先生・・・、ホントに初めてだったんですか?」
先生が再び頷いてくれると、なぜだかボクは嬉しくて仕方がなかった。
先生に抱きつくと、先生はちょっと照れた仕草を見せながらもボクを抱きしめてくれた。
「夢じゃないですよね」
我ながら、女の子みたいなセリフを吐いてしまったと思ったが、先生はニッコリ笑うとボクのほっぺたを抓って見せた。
抱き合いながらベッドに横になると、ボクはようやく先生にずっと訊きたかったことを口にした。
「あの、先生、本当にボクのこと男として見てます?」
すると先生はするっと手をボクの股間に伸ばして、手のひらでボクをやさしく包むと言った。
「女の子にこんなのついてる?」
そう言いながら、優しくニギニギされてしまったボクは、あっという間に復活してしまった。
「先生、いい?」
そう言うと、先生はボクを仰向けにさせると、ボクの腰の辺りに跨ってきた。
「あ、アレ、つけてない・・・」
そう言ったけれど、先生はボクに手を添えながら腰を下ろしてきたので、ボクは先生の潤んだ秘密の花園に包まれてしまった。
先生のおっぱいが、ボクの前で小さく揺れて、ボクは再び高まってきた。
でも、先生が少し苦しそうな表情をしていたので、ボクは先生の張り出した腰に手をやって動きを制すると、足を伸ばしたまま上半身を起こしてベッドに座った。
先生の背中に手をやって、ゆっくりと押し倒してボクが上になると、正常位になってピストン運動を再開した。
「先生、まだ痛い?」
先生は小さく横に首を振ると、下からボクに抱きついてきた。
先生の華奢な背中に腕を回し、腰の動きを速めていくと、先生は少しずつ喘ぎ声を上げ始めた。
喘ぐ先生は、色っぽくて、いやでもボクの股間の刺激になった。
コンドームをしていないボクは、先生の中で出すわけにはいかないと思って、必死に堪えた。
けれども、そこまでがボクの限界だった。
「先生、出ちゃうよ」
そう告げると、先生はボクに思いっきり抱きついてくると、ボクの耳元で囁いた。
「いいよ」
ボクはビックリして、先生の顔を覗き込むと、先生は黙って頷いた。
自分でも驚くほどに激しく腰を打ち付けて、ボクは先生の柔らかい肉襞の中で放出した。
自分でしているのとは違う次元の快感だった。
ぐったりと先生の上に覆いかぶさって、暫く余韻を楽しんでいると、先生はボクにベッドの上でひざ立ちになるよう促した。
それからティッシュを取って自分の股間に押し当てたまま、ボクの萎えたジュニアを舌の上に乗せた後、そっとお口の中に含んでお掃除をしてくれた。
先生と抱き合って眠り、目が覚めるとお昼の時間をとうに過ぎていた。
「何か食べよっか」
先生に言われて頷くと、先生はボクのTシャツに袖を通して、部屋を出て行った。
ブカブカの男物のTシャツだけを身に纏った先生の姿は、美しくもエロかった。
『でも、先生があれを着て行ったら、ボクは何を着れば良いのだろう』
そんな風に思いながら、取り敢えず、パンツとジーンズだけ履いて上半身裸のまま、先生の後を追った。
「お姉ちゃんはお料理上手だけど、私はダメなの」
先生はベーコンエッグを用意してくれたけれど、先生の言葉は決して謙遜ではなかった。
「あの・・・、先生、ボクがやりましょうか」
見かねてそう言うと、先生は意外そうな表情を顔に浮かべて言った。
「桜井くん・・・、お料理できるの?」
ボクは黙って頷くと、既に先生が潰してしまった卵の載ったフライパンを受け取ると、後を引き継いだ。
「ベーコンを先に焼くと、油を引かないで済みますよ」
冷蔵庫から先生にレタスとプチトマトを出してもらって、盛り付けぐらいはできるだろうと任せたら、どうすればそんなにアバウトにできるのだろうと思うくらいの代物がダイニングテーブルに載っていた。
ドレッシングを馴染ませるふりをして、サラダのボウルの中身もこっそり形を整えた。
「美味しい!桜井くん、お料理、上手なんだね!」
『これくらいで褒めてもらっても困るな・・・』
そんな風に思いながらも、好きな人が自分の作ったものを旨いと言ってくれるとテンションは上がった。
先生に家事のセンスがないのは、後片付けの段取りと手際を見てもわかった。
「いつもお姉ちゃんが、やってくれるから」
『年の離れたお姉さんでも、いくらなんでも甘えすぎだ』
心の中で思ったが、口には出さず、ボクは黙っていた。
家事は苦手でも、先生のことは大好きなのだから。
簡単なランチを済ませて先生の部屋の戻ったボクたちは、再び全裸になって抱き合うと繋がったまま、ベッドで話をした。
皆が高嶺の花と手を出さずにいた先生も、自分から心トキメク出会いがなくて、気がついたら処女のまま耳年増になっていたこと。
ボクが在学中、ずっと先生のことを見ていることに気がついてから、先生も何だか意識するようになっていたこと。
卒業時には、自分のときめきに気づいていたが、お姉さんに『教え子はダメよ』と言われ続けていて、諦めていたこと。
「卒業式の日、職員室の私の机に制服のボタンを置いていったの、桜井くん?」
ボクが頷いてみせると、先生はボクに抱きついてきた。
「捨てないでいて、よかったぁ」
そう言ってボクから離れると、自分のアクセサリーボックスの中から懐かしいボタンを取り出してボクに見せた。
「桜井くんのじゃなかったら、どうしようかと思っていたの」
先生はクスリと笑いながらそう言うと、大事そうにボタンをアクセサリーボックスの引き出しに仕舞った。
「私ね、生まれて初めて、子供ができてもいいって、思っちゃった」
「大丈夫なんですか?」
ボクは、さっきのことが気になって訊いてみると、先生は笑って応えた。
「大丈夫よ」
ボクたちは再びじゃれあって、まったりと繋がって、お姉さんが帰ってくる前に、ボクは先生の家からお暇した。
夏休みの間、ボクたちはそれまでの時間を取り戻すかのように二人で一緒の時間を過ごした。
先生が当直の日は校長で先生を待ち、そうでない日は先生と出かけては、デートを楽しんだ。
先生とは、あちこち出かけたけれど、ボクの下宿にもよく来ていた。
先生の家は、お姉さんと同居なので、何かと不便なのだった。
最初のうちは、専ら先生がリードしてくれていた。
自らを耳年増と自称するだけあって、濃厚なフェラの後、寸止めを繰り返されて、ビューッと音がしそうなほどの激しい射精感に見舞われたボクに、先生を気持ちよくさせてあげる余裕はなかった。
けれども、何度も契りを交わし、ボクも学習してくると、先生のイキ顔を見るのが快感になってきた。
「先生の気持ちいいところ、教えて」
そう言って先生の敏感な股間の突起を舌先で転がすと、先生は声を上げ始める。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ」
「先生、どこ?」
「そ、そこ・・・」
「ここ?」
「ちがう・・・、もっと・・・」
「もっと、なに?」
「・・・もっと・・・、右」
先生は蕾の右側が一番感じるとそのころにはもうわかっていたが、先生の口から言わせたかった。
「あ、そこ・・・、それ、いい!あー、あー、あー」
先生の腰はベッドから浮き上がり、苦しそうな声を上げながらも上半身は反り返ってきていた。
「い、イクっ・・・、あー、もう、イッちゃう!」
そこで、ボクは一旦愛撫をやめる。
先生の腰がベッドにストンと落ちて、ボクを恨めしそうに見ている。
「もう少しだったのに・・・」
先生の恨み言には応えずに、ボクは再び先生の亀裂に沿って舌を這わせる。
「あぁん」
途端に先生は身体をくねらせて、再び快感に身をゆだねる。
「あ、桜井くん、そこ!」
ボクは舌の動きから指に切り替えて、先生の蕾を擦る動きをだんだん早めて行った。
「あ、桜井くん、いい!そのまま、もっと」
「先生、イキたくなったら、言ってね」
「もう・・・、もう・・・」
「先生、勝手にイッたら、ダメだよ」
「あぁ、桜井くん、もう、ダメ・・・、イッちゃう!」
先生の身体が震え始め、絶頂を迎えようとしたところで、ボクは指を先生の突起から放した。
「桜井くん、酷い・・・」
先生は拗ねてボクに背中を向けてしまうが、ボクは先生の背後からぴったり身体をくっつけて、後ろから腕を回して先生の股間を弄った。
「もう、知らない!」
最初はそうはいっていても、小刻みにクリを捏ね回していると、先生の身体から力が抜けて、ボクに抱きつこうとしてくる。
ボクは、自分の手の動きを止めないで、先生に言う。
「先生、舌を出して」
これも先生が教えてくれたことだけど、先生は今では舌を吸うよりも、吸われる方が好きだ。
薄めの唇の間から突き出された舌を吸い込むと、先生の快感は一気に高まるようだ。
「んー、んー、んー」
ボクは先生の舌を開放し、股間への刺激に緩急をつけながら、訊き続ける。
「先生、どうして欲しいの?」
「・・・」
「イキたいの?」
「・・・」
先生が答えないと、ボクは手の動きを緩めて見せる。
すると、先生は決まって観念したような表情になって言うのだ。
「ねぇ、お願い!」
「なに?」
「・・・たいの・・・」
「なに?きこえないよ」
すると先生は苦しそうな表情のまま、懇願するようにボクに言う。
「イキたいの!」
ボクは指の動きを一層早める。
「んっ・・・、気持ちいいの!イカせてほしいの!」
それを合図に先生の一番感じるところに指の先の位置を少しずらして変えて、高速で捏ね上げる。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ」
「あー、それ・・・、そこなの、そこ!」
「あー、あー、あー、い、イクっ・・・」
「あー、もうダメ・・・、イッちゃう・・・、イッちゃう・・・、あ゛ー・・・、イク、イク、イクっ!!!」
先生の身体がエビ反りになって、エロさ全開で絶頂を迎えると、先生はボクの手から逃れようと腰を引いて背中を丸めた。
そこでいったん先生の身体をシーツでくるみ、思いっきり抱きしめてキスをすると、先生は放心状態で、目はもうトロンなっている。
先生の身体を反転させて、ベッドの上で四つん這いにさせると、今度は後ろから割れ目に沿って指を這わせた後、今度はズブリとびしょびしょの蜜壺へと埋め込んでいく。
「うぅ・・・」
先生の呻き声が上がるが、
ボクはそのまま愛液に濡れた先生の肉襞の中で指をくねらせる。
「あぁー、それダメぇ!」
先生が苦しげな悲痛な声を上げるが、そんなことでボクは怯まない。
ベッドに伏せたまま、お尻を高く上げさせて、
ボクは先生の亀裂に指を出し入れしながら、お尻にも舌を這わせた。
「ひぃっ!桜井くん、それはダメ!」
「先生、素直にならないと、やめちゃうよ」
ボクは先生の菊門を舌先でツンツンしながら、指の動きを早めた。
「そんな・・・、どうして、そんな意地悪するの?」
「先生に素直になって欲しいだけだよ」
「だって、そんな、恥ずかしい・・・、あー、でも・・・、でも・・・」
「気持ちいいんでしょ?」
「あー、違うの・・・、でも、そうなの・・・」
先生は言っていることが、もう滅茶苦茶だった。
「先生、イクときは、言ってね」
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ」
ボクは、舌先に力を入れて、菊門に更に強く押し付けながら、
先生の蜜壺への指を二本に増やしてフィニッシュにかかった。
「ひぃーっ!!!」
先生は、上半身を反らして仰け反ると、狂ったように頭を左右に振った。
「もう、ダメ!もう、ダメ!イ、イッちゃう!また、イッちゃう!」
ボクは少し指の動きのペースを落とした、
すると先生は、ボクのほうに首を捻りながら言った。
「桜井くん、やめないで!お願いだから、やめないで!イカせて!いま、やめたら・・・、先生、おかしくなっちゃう!」
「先生、イキたいの?」
「イキたい!イキたいから、やめないで!」
ボクは、高速で指を出し入れすると、先生は断末魔のような声を上げた。
「イクっ、イクっ、イクっ、あ゛ーっ、イグ、イグ、イグ、イグ、イグぅー!!!」
先生の上半身がベッドにどっと倒れこみ、
股間からは愛液が迸り出ると、ベッドのシーツを大きく濡らした。
先生の身体は、痙攣が止まらなかった。
潮吹きにも痙攣にも、最初はびっくりしてしまったけれど、
いまではそんな先生の姿を見るのが快感になっている。
でも、これで終わらせては、先生に申し訳ない。
身体の震えの止まらない先生の身体を反転させて、
ベッドに仰向けにさせた後、
ボクは先生の長い脚を抱え込むようにして割ってはいると、
愛液に塗れた先生の中に一気に怒張したものを挿入した。
「あ゛がーっ!!!」
先生は、首と胸が反って身悶えするが、
ボクはガッチリと先生の奥まで、ジュニアを捻じ込んだ。
「桜井くん、もう、許して・・・」
ボクは、それを熱湯風呂の"押すなよ"と同じだと捉え、
先生に高速ピストンをお見舞いする。
「らめ、もう、らめぇーっ!!!」
先生は、ボクの先が子宮に到達するたびに、
ビクビクと身体を震わせて、絶頂が止まらなくなる。
呂律が回らず、目はもうすっかり虚ろだけれど、先生の身体の痙攣は止まらない。
「あ゛ーっ、また、イクぅーっ!!!」
先生が昇天するのに併せて、ボクは熱い滾りを先生の肉襞の中で放出した。
先生に覆いかぶさったままで、余韻に浸っていると、
先生は目を閉じたままゆっくりとボクの髪を手櫛で梳くようにしながら、
頭を撫でてくれた。
「桜井くん、好きよ」
「好きになったのは、ボクが先だよ」
「でも、今では私の方が、好きだから」
先生は、中イキで連続オ−ガズムを感じたあとは、
すごくサッパリした表情になって、普段以上に優しくなる。
ボクは、それがうれしくて、ついつい何度も先生を攻め立ててしまう。
お互いにオナニーも見せ合って、
先生もボクもお互いの身体のことは知り尽くしている。
「ねぇ、先生」
ベッドで抱き合ったまま、ボクは話しかけた。
「なに?」
「気持ちよかった?」
「・・・ばか」
でもそんな風に聞いたのは、ボクの照れ隠しで、本題はそれからだった。
「ねぇ、先生・・・、大学を卒業したら、ボクと結婚してくれる?」
ボクは、先生が二つ返事で承諾してくれるものと、信じて疑っていなかった。
けれども、先生はピッタリと寄せ合っていた肌を離したかと思うと、
身体を反転させて、向こうを向いてしまった。
「桜井くん、若いんだから、今からそんな約束しないでいいのよ」
けれども、先生の声が最後の方、少し震えていたので、
ボクは先生の肩に手を掛けると、グイとボクの方を向かせた。
案の定、先生はアーモンド型の大きな目に涙を溜めて、
こちらを向かせた瞬間に、目尻からこめかみの方に涙が伝った。
先生が怒っているわけでも、
悲しんでいるわけでもないことくらい、頭では解っていた。
それなのに、ボクの心はざわざわした。
男って、どうしてこんなに女の涙に弱いんだろう。
ざわざわしたら、先生に自分の気持ちを伝えたくて仕方がなくなってしまった。
「ずっと、好きなんだけど、先生のこと。先生が赴任してきた、あの日からずっと」
それを聞いた先生は、人差し指で自分の涙をぬぐいながら、言い返してきた。
「わかってるわよ」
そう言われて、ボクは思わず吹き出してしまった。
それから、先生の身体を思いっきり抱きしめて、耳元で囁いた。
「チアキが、うんって言ってくれなくても、一緒になるから」
初めて、先生のことを名前で呼んだ。
「なによ、制服のボタンだけ置いていって、何も言ってくれなかったくせに・・・」
「だから、これから何度でもいうよ。チアキが好きだ!好きだ、好きだ!」
ボクの腕の中で、先生の肩が震えているのがわかった。
ボクは、先生の身体をベッドに仰向けに寝かせると、今度は優しく膝を立てさせた。
「桜井くん、きて」
先生が天使の笑顔を見せて、ボクを迎え入れてくれた。
先生の中は温かく、脳天が痺れるような快感に包まれた。
ドピュっという漫画みたいな音がしたのではないかと思うほど、
ボクは激しく脈打つと、先生の中で果てた。
****
「ちょっとぉ、早くしないと遅れちゃうよ」
しっかり者のチアキにせかされながら、ボクは出かける用意をしていた。
その日は、チアキのお姉さんの結婚式だった。
「ちょっと、なに?そのネクタイの結び方」
まだ学生のボクは、ネクタイの結び方に慣れていなくって、
チアキはボクを自分の前に立たされると、
不格好に結んだネクタイの結びめを直してくれた。
「ハンカチは持った?」
「へい、へい」
「もう・・・、ホントに大丈夫?」
チアキは小言を言いながらも、ボクの面倒を見るのが大好きで、
ボクもそれに甘えてしまっている。
礼服で電車に乗るのは何だか恥ずかしかったので、贅沢だと思ったけれど、
会場までタクシーを使ってしまった。
「お姉ちゃんたらね、田中さんとお付き合いするようになってから、
週末が来るたびに私を家から追い出していたのよ」
「それで、チアキはあんな汚いボクの下宿に足繁く通って来ていたわけだ」
「でも、私が行くようになってから、ずいぶん綺麗になったと思うけど」
「へい、へい」
自分では気が付いていないようだけど、
チアキは結構ガサツなところがあって、
チアキが言うほどボクの下宿は綺麗になっていたわけではなかった。
魚を食べるのだけは、なぜだか上手いのだけれど。
「ったく、お姉ちゃんたら、いつも田中さんと何をしてたんだか」
「何って、ボクたちと同じじゃないの?」
そう言うと、チアキは昨晩のことを思い出したのか、
顔を赤らめてボクを打つ真似をした。
タクシーの運転手さんが、
黙ったままバックミラー越しにボクたちのことを窺っていた。
姉の結婚式を翌日に控えて、ボクたちのことと重ねて考えていたせいか、
昨晩のチアキはいつも以上に激しかった。
いつもより丹念にボクの肉棒をお口に含み、しっかりと勃たせたあとは、
ボクの腰の辺りに跨ると、
自分で手を添えたかと思うと一気にボクを根元まで呑み込んだ。
「あふ・・・、いいよぉ・・・、桜井くん、いいよぉ」
チアキの艶めかしい声に誘発されて、ボクは一層硬度が増すと、
チアキの張り出した腰に手を添えて下から力強く突きあげた。
「あぁ、すごい!」
チアキは髪を振り乱し、声をを上げていた。
ボクが上半身を起こして小さなおっぱいに吸い付くと、
チアキのピンク色の乳首はコリコリになっていた。
舌先で転がした後、吸ったり甘噛みをするとチアキの興奮は高まり、
自分で腰を前後に激しく動かすと昇天し、愛液が結合部分を伝って流れた。
ガックリと上半身をボクに預けるようにして、先生は覆い被さってきた。
「早く、桜井くんの赤ちゃん、産みたいよぉ」
チアキはボクの耳元でそう囁くと、スースー寝息を立て始めた。
披露宴での千夏さんは、アラフォーとは思えないほど若くて綺麗だった。
お婿さんの田中さんは、チアキのお義兄さんになるのだけれど、
ボクよりは年上だったものの、チアキよりも年下だった。
それでもボクがチアキのご両親に挨拶に行く前には、
自分の経験を踏まえていろいろとアドバイスしてくれた。
大きな会社の営業でエースの田中さんは、ボクにとって頼りになるアニキだった。
「姉妹揃って、年下の婿殿を見つけてくるとは」
お義父さんに初めて会ったとき、そう言われたのだけれど、
お義父さんこそ、姉さん女房だった。
「血は争えないねぇ」
そんな風に感慨深く言われたけれど、こうも言ってくれた。
「年上の女房ってのはねぇ、齢(よわい)を重ねるごとに良さが分かるものなんだよ」
ルビー婚式を過ぎたお義父さんの言葉には、重みがあった。
いまお姉さん夫妻にも、ボクたちにも娘がいる。
彼女たちもいつか、年下のカレシを見つけて連れて来るのだろうか
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